異文化感じる′eいの場に (山陽新聞 オピニオンから)
 
インドに日本庭園
 
岡山県から南西に約6千キロ離れたインド・プーネ
市に、後楽園をモデルにした日本庭園「プーネ岡山
友好公園」の建設計画が進んでいる。今月から基礎
工事が始まり、約1年かけて完成を目指す。ボラ
ンティアで同公園の設計を手がけ、9月初旬、同市
で行われた定礎式に出席した松本武司・岡山県造園
建設業協会理事(下電造園土木社長)に、築庭支援
への思いを聞いた。
 
庭園の設計図
−設計のきっかけは。
「昨年10月、同市の行政、経済関係者による訪問団が視察で岡山県を訪れた際に後楽園の
美しさに感銘を受け、『ぜひプーネ市にも』と希望されたと聞いている。その後、県から協
会を通じて設計の話があり、岡山とプーネを結ぶ友好の橋渡しになるならと引き受けた」
 
−具体的な建設計画はいつ決まったか。
「今年3月、県がプーネ市に派遣した交流可能性
調査団のメンバーとして参加し、いくつかあった
候補地の中から実際の建設地を決めてきた。背後
に小高い山があり景観もよく、広さや形も適当だ
った。もともと同市には公園を整備する計画があ
ったようだが、約12万平方メートルの敷地のうち、
3分の1に当たる3万8千平方メートルに日本庭
園を造ることになった」
公園建設予定地を視察する松本社長
 
 
−どんな庭園ができるのか。
「後楽園の縮小版になるが、曲水、築山、芝生広場のほか、水田や茶畑といった特徴を忠実に再現する。ただ、日本とは気候や地理的条件が異なるため同じ樹木を育てるのは難しい。似たような種類の植物で代用し、マツやフジなどは種子を持ち込んで実際に植えてみるつもりだ」
 
−建設に当たり、折衝の過程で難しさもあったのでは。
「商取引でない分、ハートは通じたと思う。池泉回遊式という特徴を取り入れ、水路が織りなす曲線美や、四季を再現するという日本的な思想にも十分理解を示してくれた。難しさよりも楽しさを感じている。だが、日本庭園は造ってからが始まりだ。月日を経てこけが生え、古びていく中ではじめて値打ちが出る。そのためには手入れ維持管理が欠かせない。実際問題として水の浄化面などで多少の不安はあるが、造る以上はしっかりやってくれると信じている」
 
 
−設計者として定礎式に参加し、どのような思いを抱いたか。
 
「同市の担当者は後楽園を造形美の傑作と
評し、『園内を一周すると絵巻物を見終わ
ったような気分になれるはず』と、庭園の
建設に大きな期待を寄せていた。設計図を
手渡したことで責任はひとまずインドに移
り、安どしている。と同時に、今後は苦楽
を共にしながら成功に向けて協力していき
たいと新たな決意も芽生えた」
 
定礎式に出席
 
−今後、築庭にはどうかかわっていくのか。
「基礎工事を終えて本格着工する年明け以降は、当社の監理技術者・造園技術者を毎月1〜2週間程度派遣して現地指導に当たることにしている。自分自身も3カ月に一度は現場を視察に行くつもりだ。今回のプロジェクトを引き受けたことで未知の世界に挑戦でき、社員教育の面でも自分にとってもプラスになった。この年になって英語の勉強をしようという気持ちさえ生まれた。庭園の完成によりインドの人々が異文化を感じ、憩い、語らいのとなることを期待している」(2004年10月18日 山陽新聞掲載)